【レポート】ゲームの品質と生産性を向上させるためにー 組織デザインが加速させるAI活用 #CEDEC2022 #classmethod_game
こんにちは。ここではCEDEC 2022で講演された「ゲームの品質と生産性を向上させるためにー 組織デザインが加速させるAI活用」について重要と思った解説を中心にまとめてみました。
セッションの概要
ゲームの品質と生産性を向上させるためにー 組織デザインが加速させるAI活用
AI活用の開拓とスケーリングにおけるプロジェクト横断的なプランニングの効用と組織体のあり方について、DeNAの取り組みをもとに説明します。
ゲーム開発の要求品質の上昇と大規模化が進む中、機械的・自動的なアプローチによる品質・生産性向上のニーズも高まっており、複数のゲームプロダクトに対して機械学習技術を効率的に導入・拡張するノウハウは今後さらに重要になると考えられます。DeNAでは逆転オセロニアにおける機械学習技術の導入を端緒として、全社的なAI導入推進のための横断組織を立ち上げ、2年間に渡り様々な事例開拓に取り組んできました。
本講演ではビジネスニーズとAI技術のマッチング、複数のゲーム製品開発と研究開発の包括的な管理方法、スケーリングのための組織体制と戦略構築について具体の事例を踏まえて解説します。
内容について
今回のセッションの発表について、印象深いところを中心に取り上げてみました。このあたり、学習中の身ですので説明を中心に記載していきます。
DeNAのアプローチ
今日の最初の方でのような AI関連の事業を促進するためには「プロジェクトとの早期の対話」「俯瞰的・横断的な計画と推進」「流動性の備え」が大事だということがすごく強調されてました。このスライドは、この後も何度も登場したので、とても重要なことだということがよくわかりました。
トラブルの主な要因
AI 関連事業を促進するにあたってトラブルの要因となることが大体この四つに集約されるそうです。
- ひとつのプロジェクトに閉じたゲリラ開発
- 間違ったゴール設計
- アイワと検討のタイミングが遅すぎ
- 潜在リスクの見落とし
トラブルの要因についてこれから詳しく見ていきます。
ひとつのプロジェクトに閉じたゲリラ開発
1つのプロジェクトに閉じて開発を行うことがさまざまなトラブルを引き起こします。 そのうちのひとつに知財の権利があります。
セクションやプロジェクト横断での戦略判断を行ったり、多角的な視点からの評価を行わないと意味をなさなくなります。 せっかく開発しても他に応用できないのは確かにもったいないですからね。
対話と検討のタイミングが遅すぎ
これは必要になってから導入検討するのではタイミングとして遅すぎる、ということです。 プロジェクトのかなり初期の段階で検討しておくことによって、無駄な工数の発生を防ぐことができます。このあとの事例紹介でもありましたが、導入したい時期になって相談したがために、そもそもの導入ができないこともありました。
潜在リスクの見落とし
R&Dにおいては予定通りに進むとは限りませんのでそれらが失敗するといったことも想定しておく必要があります。その反対にR&Dが順調に進んでいてもプロジェクトの進捗が遅延しているために、AIを組み込むための人的リソースが足りないといったこともあります。
開発の長期化により、導入目的などがその間にぼやけてしまうこともあるので、長期的な会話と合意形成が必要です。
間違ったゴール設計
ちゃんと本質的なニーズをおさえておく必要があります。そのために、開発チーム側から要求をヒアリングして本質的なニーズを把握し、AIのチームとゲーム開発チームとの不幸なすれ違いが発生しないように進めていかなければなりません。
AI推進組織の役割
このAI推進グループは、プロダクトマネージャ、アナリスト、エンジニアなどのゲーム開発運用とAIとの架け橋となれるメンバーが揃っています。 それらのメンバーが、プロジェクト・セクション横断で以下のように進めています。
調査
プロジェクトマネージャがプロジェクトのニーズやユースケースなどさまざまな情報を集めて調査を行います。これらの調査結果によってマッチングするところを見つけます。
計画
プロジェクト自体がどこに向かって、どのように進めていくかを計画していきます。AI開発に限らず重要な話ですね。
調達
ヒト・モノ・カネ・情報を調達していきます。ただ、今回のようなAI推進のプロジェクトでは、プロジェクト横断となっているので、そのあたりは意識して進めていく必要があります。
推進
AIの導入を進めていくにあたり、環境の変化、R&Dとゲーム開発との架け橋となります。これが不十分だと不幸なすれ違いが発生します。
体系化
資料化、体系化を進めたり、特許の取得を行ったり、共通基盤の作成などを進めています。 次回、同じような事例が発生した場合にも対応できるようにしておくことは大事ですね。
伝播
体系化したものを社内・社外に広めていく必要があります。CEDECで発表するのもそのひとつです。 社外で発表することは、社内認知への向上においても高い効果があります。
まとめ
スライドにある通りです。AIに関しては「ご利用は計画的に」といったところでしょうか。
雑感
この手のAI活用という面ではDeNAさんは進んでいる会社さんなので、いろいろ参考になりました。 まずは、このレベルが語れるまで私達もすすめていかないといけないですね。